書評 葛西 一成 著『組織を整え人材を活かす 強い経理の作り方』

(税務研究会出版局/定価2,200円+税)

アース製薬 ファイナンスマネジメント部長 堀畑 貴裕

( 30頁)

本書の著者である葛西氏と一緒に働くのは、実は現在の会社で2社目となる。詳細は省くが、その都度、同氏の「論理明快に事象を整理していく力」、もっとくだけた言い方をすると、「散らかったものを、キレイに整理整頓していく力」には驚かされている。

本書は、その葛西氏の豊富な経理実務経験に基づいた具体的な施策が、事例と共に分かりやすく紹介されている。「経理部門をどう強くするのか」という、ある意味多くの日本企業が抱える永遠の課題について、真正面から取り組まれた良書であると心底思っている。

経理の現場を預かる身として改めて思うことは、経理の仕事はシステマティックであるようで、未だ非効率なことが多いということである。タスク管理の章で紹介されているように「決算時の業務担当は、各人の"作業"が割り振られ羅列されているだけで、本来達成すべきタスクの目的が分からない」とあるが、現状まさにその通りで耳の痛い指摘であった。また案外見落とされがちな点として、「経理実務は、他担当者が作成したファイルを共有して作業を行う為に、ファイル名だけで中身を判断できないと、都度ファイルを開けて確認しなければならず時間の無駄」とか、「ファ...