MBOや支配株主による完全子会社化に関する企業行動規範の見直し等の概要
東京証券取引所上場部企画グループ 中村 咲百合
I.はじめに
東京証券取引所(以下「東証」という)は、2025年7月22日に有価証券上場規程等の一部改正を行い、MBOや支配株主による完全子会社化等の場面において、一般株主の利益を適切に保護する観点から、企業行動規範の見直しを行った。あわせて、IRを通じて積極的に投資者との信頼関係を構築し、企業価値向上に取り組んでいただく観点から、上場会社として必要なIR体制の整備を義務付けることとした。
本稿では、これらの見直しの背景や概要について解説することとしたい。
II.MBOや支配株主による完全子会社化に関する企業行動規範の見直し
近年、上場会社において中長期的な企業価値向上の観点から事業ポートフォリオの見直し等の取組みが進められる中、MBOや支配株主による完全子会社化による上場廃止の件数が増加している。
企業価値向上を目指した抜本的な経営改善に向けた取組みにより、東証市場から退出する企業が増えること自体については、否定的に見ていないが、MBOや支配株主による完全子会社化については、構造的な利益相反リスクや情報の非対称性の問題が存在することから、一般株主の利益が適切に保護されるよう配慮...
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