<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第142回 リース(21)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
塵も積もれば山となる
「塵点劫(じんてんこう)」という仏教用語がある。その中で使われている「劫(こう)」というのは時間の長さを表す言葉で、宇宙の始まりから終わりまでの時間が「一劫」だと言われている。あるいは、一里四方の巨大な岩山の上に100年に1度、天女が降り立ち、その羽衣で岩山を1回なでるとして、その岩山がすべて砂になるまでの時間が一劫の単位だとも言われている。塵点劫は、劫の数が塵の数ほどあるということで、とんでもない時間、すなわち永遠ということを表す言葉である。
劫という字はあまり見ない字だが、実は身近な言葉にも使われている。それは「億劫(おっくう)」である。元々の意味は、劫が億の数ほどある長い時間という意味で、時間が長くかかるので嫌だという意味になった。ちなみに億劫と塵点劫を比較すると、塵点劫の方がはるかに長い時間を表しているそうだ。それほど塵の数は多いということだ。
日本には「塵も積もれば山となる」という素晴らしい言葉がある。これは、良い意味でも悪い意味でも使われる。目に見えないような小さなことでも、それが積み重なれば山のように大きなものになるという例えだが、勉強や健康管理など様々な...
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