株主総会3週間以上前の有報開示の実現に向けて~一体開示と株主総会の後倒しのポイント(後編)~
EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 高平 圭
前編( No.3721・8頁 )に続き、株主総会3週間以上前の有報開示を実現するための施策として考えられる「事業報告等と有報の一体開示」と、「株主総会の後倒し」に関する実務上のポイントについて考察する。なお、本稿の意見に渡る部分については筆者の私見であり、所属する組織の見解でない点について予め申し添える。
3.一体開示に関するポイント(続き)
会社法に基づく開示と金融商品取引法に基づく開示それぞれによって法令上の責任の相違があるため、一体開示書類を作成した場合の虚偽記載や記載すべき事項の記載漏れがあった場合の責任関係を整理する必要がある。事業報告に固有の記載事項(例えば、主要な借入先及び借入額、役員の重要な兼務の状況等)を一体開示書類に記載した場合は、有報では任意開示の取扱いとなり、これに虚偽表示があった場合には形式的には金融商品取引法上の責任の対象にもなると考えられる。なお、一体開示書類における有報に固有の記載事項に虚偽表示があった場合には、形式的には会社法上の責任の対象ともなるが、金融商品取引法上のエンフォースメントの方が重く定められており、実務的...
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