<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第145回 リース(24)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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転貸禁止条項

アパートなどの賃貸契約書をよく見ると、ほとんどの場合、転貸禁止条項が入っている。具体的には「乙は、甲(貸主)の書面による事前承諾なく、本物件の全部又は一部を第三者に転貸し、又は使用させてはならない。」と言ったものである。このような条項が入っているのは、借主が勝手に第三者へまた貸しすると、貸主は誰が実際に使っているのか分からなくなるからである。転貸によって目的外の使用が行われ、建物の損傷や近隣への迷惑行為などのトラブルの元になる可能性がある。最悪の場合、犯罪に利用されたりすることもあるので、それを防ぐ為である。

一方で、サブリースは立派なビジネスであり、社会への貢献度も高い。例えば、アパート・マンションの一括借上げなどである。具体的には、建物のオーナーから10年~30年契約で一括借上げし、毎月の賃料を保証する代わりに、入居者募集・管理を業者が担う。おかげでオーナーは収入が安定するし、賃借人も個人との契約ではなく、大手企業との契約なので、メンテナンスなどで高いサービスを受けることができる。

あるいは大手ディベロッパーが、テナントビルや商業施設を一括で借り上げ、細分化して小規模事業者...