サステナビリティ保証業務実務指針5000「サステナビリティ情報の保証業務に関する実務指針」公開草案の解説(後編)

有限責任監査法人トーマツ パートナー 
デロイトトーマツサステナビリティ株式会社 代表取締役 後藤 知弘

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日本公認会計士協会は、2025年10月15日にサステナビリティ保証業務実務指針5000「サステナビリティ情報の保証業務に関する実務指針」の公開草案(以下、「サス保実5000」という)を公表した。本稿では本公開草案の内容を2回に分けて解説しており、前編ではサス保実5000の公表の経緯や概要等を解説した( No.3729・30頁 )。後編では具体的な個別のポイントを解説する。なお、本稿の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りする。

4.サス保実5000の個別のポイント

(1)重要性/マテリアリティ

①企業のマテリアリティ・プロセス

保証業務実施者が、企業の内部統制システムを理解する際に、企業がサステナビリティ情報で報告対象となるサステナビリティ事項や報告バウンダリーを決定するために適用するプロセスを理解すること等を求めている(第117項、第118項)。また、サス保実5000の付録2において、報告対象となるサステナビリティ情報を識別するための企業プロセスについて、業務実施者が保証業務全体を通じてどのように検討するかを例示している。なお、サステナビリティ報告の枠組みにおいて、企業に対し、ダブル・マ...