事例から学ぶ適時開示―不適正な開示事例の解説― 第4回 不適正な開示の未然防止に向けて
東京証券取引所 上場部 開示業務室 ディスクロージャー企画グループ 統括課長 渡辺 隆
1.はじめに
本稿まで、 第1回 では主に適時開示制度の概要や実務対応上の要点について解説し、 第2回 及び 第3回 では不適正開示の発生状況と、不適正となった開示例の紹介とともに発生経緯・原因等について解説してきました。
第2回の2.不適正開示の発生件数及び傾向の図表2のとおり、1年に1回以上の不適正開示が生じた上場会社が全上場会社の8.2%であるのに対し、不適正開示が生じた上場会社のうち12.7%の会社では1年に2回以上の不適正開示が生じており、また16.2%の会社では2年連続で不適正開示が生じています。上場規程ではその実効性確保のため、上場会社が適時開示の規定に違反したと認められる場合には、公表措置や改善報告書の徴求、特別注意銘柄への指定などといった措置を講ずることができることが定められています。継続的に不適正開示が発生していると措置の可能性も高まることから、不適正開示の未然防止、再発防止への取組みは非常に重要です。適時、適切な会社情報の開示の遂行のためには、必ず東証の規則や適時開示ガイドブック等の内容を確認し、正しく理解したうえで対応いただくことが望ましく、今回は、不適正開示の未然防止のために...
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