新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第31回 政策保有株式に関する実務上の論点

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 浦田 千賀子

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2025年1月31日に政策保有株式の開示に関する「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正が公布・施行されました。その背景には、令和5年度の金融庁の有価証券報告書レビューにおいて、政策保有目的株式の開示について、適切になされていないのではないかとの課題がありました。

そして、令和7年度の金融庁の有価証券報告書レビューにおいても、政策保有株式関連の開示を含むコーポレート・ガバナンスに関する開示が重点テーマ審査項目として引き続き挙げられており、政策保有株式に関する開示についての注目度の高さを伺うことができます。

そこで、本稿は、政策保有株式に関する実務上の論点を中心に解説します。

なお、本稿の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。

Q1

政策保有株式についての開示府令の改正内容について教えてください。

A1

1.改正の経緯

改正の背景として、令和5年度の有価証券報告書レビューにおいて、「株式の保有状況」の開示のうち、政策保有目的から純投資目的に保有目的を変更した株式の開示状況を検証した際、実質的に政策保有目的株式を継続保有している...