Q&Aコーナー 気になる論点(402) 貸倒引当金の改正案(2)-金融機関への適用-
早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一
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Q 企業会計基準委員会(ASBJ)が2025年10月29日に公表した企業会計基準公開草案第89号(企業会計基準第10号の改正案)「金融商品に関する会計基準(案)」(以下「会計基準案」という)及び企業会計基準適用指針公開草案第88号「金融資産の予想信用損失に係る会計上の取扱いに関する適用指針(案)」(以下「適用指針案」という)では、貸倒引当金の設定において、IFRS第9号「金融商品」と同様に、「相対的アプローチ」を提案しています。他方、適用指針案では、現行の債務者区分による方法と親和的な内部信用格付を活用した簡素化された方法も提案しています。簡素化された方法は、「絶対的アプローチ」と考えられるため、適用指針案は、原則的な方法の考え方と整合していないのではないでしょうか。 |
A そうではありません。適用指針案において、簡素化された予想信用損失の算定方法は、原則的な処理の適用が実務上困難であると考えられる企業向けに提案されており、それには、相対的アプローチ(当初認識以降に信用リスクが著しく増大した場合に全期間の予想信用損失を認識する方法)による判定の実務負担を考慮し、内部信用格付を活用する方法も...
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