新償却・引当基準の概要及び邦銀実務に与える影響(後編)

株式会社三井住友銀行 米州経営管理部 副部長 黒田 康平
株式会社三井住友銀行 財務企画部 上席推進役 渡辺 真一郎

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【目次】

項目 掲載号
1.公開草案の概要 前号
No.3731
2.ECLモデル
3.ECLモデルの前提となる償却原価と付随する手数料の取扱い 本号
4.貸付金以外の金融商品へのECLモデルの適用とそれに伴う会計処理等の変更
5.注記事項
6.適用時期及び経過措置
7.今後の対応

3.ECLモデルの前提となる償却原価と付随する手数料の取扱い

(1)貸付金等の債権の実効金利法

公開草案では、ECLモデルとの整合を図る前提として、貸付金等を、実効金利法による償却原価法で測定する。

貸付金に関連する手数料等は、実質金利相当の場合に、原則として手数料として認識するのではなく、実効金利として調整する必要がある。金融商品の実効金利の不可分な一部である手数料には、貸付金の組成又は取得に関して受け取る組成手数料などが含まれる。当該手数料は繰延べられ、貸付金の期間に応じて利息として認識する。

一方、貸付金の元利金徴収に課される手数料や、融資の取りまとめの対価として受け取るローン・シンジケーション手数料などは、金融商品の実効金利の不可分な一部ではない手数料として、収益認識に関する会計基準(以下、「収益認識会計基準」という)に準じて手数料...