新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第32回 不動産売却時における実務上のポイント

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 吉田 武司

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近年、資本効率経営に目が向けられるようになったこともあり、資産・負債を貸借対照表から減らす、つまりオフバランスにする動きが見られます。例えばROA(総資産利益率=当期純利益÷総資産)を経営指標として掲げる場合に、当期純利益の額が変わらないとしても、総資産を減らすことでROAが向上します。この点、不動産を多く保有する会社では不動産を「売却」することで総資産を減らすよう検討されることがあると考えられますが、その「売却」で即オフバランスになるとは限りません。一般に、不動産は個別性が強いほか、動産のようにものの動きがないために本当の所有関係が第三者から見えにくく、また不動産売却取引を行った後も売主が継続的関与をする場合もありますが、不動産売却取引を行ったときに適用すべき包括的な会計基準等があるわけではなく、適用すべき会計基準等に誤解が生じる可能性もあり、実務上は様々な検討事項があります。本稿においては、保有する既存の不動産を売却する場合の取引に焦点を当てて、売却を行った際に留意すべき論点や検討事項について整理し、解説を行っていきます。なお、本稿中の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、E...