<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第148回 リース(27)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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タイパ

最近よく使われる言葉で「タイパ」という言葉がある。タイム・パフォーマンスという言葉を省略したものだ。この言葉の先輩格に当たる言葉が「コスパ」である。これはコスト・パフォーマンスを省略した言葉であるが、十年ぐらい前から市民権を得ている。あれはちょっとコスパが悪いのでやめにした、とか、こっちの方がコスパ良いよ、などという会話が日常的に交わされるようになった。これに対してタイパという言葉はSNSを通じて若者を中心に広まり、それがコロナ禍で加速した。

タイパは単なる時間効率性ということではなく、費やした時間に対してどれだけの満足が得られたかを重視する言葉らしい。動画配信サービスやSNSが提供する膨大な情報量が溢れる中で、映画を倍速で視聴したり、短尺動画で済ませたりすることが普及したのがこの言葉の背景にある。今では学習、娯楽、対人関係にいたるまでの多様な場面でタイパが重視されるようになっている。「あの人タイパ悪いからダメだよ」という言葉すらある。それは、その人の効率性が悪いとか生産性が低いという意味ではなく、あんな人に時間かけても得るものはないよということだ。確かに人生に与えられた時間は有限...