M&Aの経理実務を時系列で理解する 第10回 PPAのスケジュールと準備

‐会計処理・決算対応の要点‐

株式会社Stand by C  藤井 祥子

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1.はじめに:PPAとは?

本稿(第10回)から第12回にかけて、「買収後のPPA(Purchase Price Allocation)」をテーマに取り上げる。PPAとは、被取得企業から受け入れた資産及び引き受けた負債のうち、企業結合日時点において識別可能なものの企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して取得原価を配分する手続きである。これは企業結合日時点において被取得企業が企業結合日前に認識していなかった資産・負債も含まれ、例えば商標権や特許権と言った無形資産の識別・評価のほか、土地の時価評価、未認識の退職給付債務の計上もPPAの一環として行われる。

従来日本基準においては、買収価格と時価純資産の差額(以下、「広義ののれん」という)を20年以内の一定の年数にて償却していたが、2010年4月の企業結合会計基準の改正に伴い、日本の会計基準においても原則としてPPAが求められ、広義ののれんに含まれる資産・負債が特定され、広義ののれんからそれらを差し引いた残額(以下、「狭義ののれん」という)が、いわゆるのれんとして扱われるようになった(図1)。近年は上場会社だけではなく、上場準備...