<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第161回 失われた40年(13)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
失敗の本質
『失敗の本質-日本軍の組織論的研究』は1984年にダイヤモンド社から出版された名著である。この本は、軍事歴史学者の戸部良一氏や経営学者の野中郁次郎氏など分野の異なる6名の専門家が執筆を担当し、日清・日露戦争の成功体験に囚われて、環境の変化に対応できなかった戦前の日本の体質を描いたものである。
この本の発行部数は2025年までの推定累計で100万部を超えているとされる。しかし、1984年に出版された時点では、それほど注目された書籍ではなかった。それが、バブルが崩壊した頃から注目され始め、1994年になってようやく10万部を超えたという。しかしその後、2008年に30万部を突破し、2019年に70万部を突破、2025年に100万部を超える超ロングセラーとなった。
このような異常とも言える発行部数の推移そのものが、まさに日本の失われた40年を象徴しているように思う。というのも、初版が出版された1984年は、日本が絶好調であった時期である。SONYのウォークマンをはじめとする日本製品に世界中が憧れ、世界経済の中で日本が圧倒的な勝者であった時期である。
当時の我々は、自分たちは戦前の人たちと...
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