会計基準の長い日々 第37回 ストック・オプション(SO)(その2)~理解が困難な会計処理もある

 公認会計士 西川 郁生

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理屈に生きる男、豊田俊一専門研究員

SOプロジェクトのプロジェクト・リーダーは、この時期、NECからの出向者、豊田俊一専門研究員に交替していた。SO等専門委員会の専門委員長であった私は、彼の熱意と推進力に期待していた。彼の特徴は、理屈を真剣に考察することであった。この頃、彼は基本概念ワーキング・グループの事務局メンバーにも選ばれていた。一企業のサラリーマンでありながら、振舞いからは学者、或いは官僚であってもおかしくないように見えた。現に国家公務員上級職試験の合格者であるという。彼をASBJに送り出したNECの松本滋夫専務 は在任中、毎年年末の挨拶で溜池山王を訪ねてきた。豊田氏の活躍の様子を伝えると「お役に立っているようで何よりです」と嬉しそうな表情になる。それは部下への愛情を感じさせるものだった。

豊田専門研究員は、公聴会の運営に尽力したのち、会計基準の詳細を詰める作業に取り組んだ。根を詰めてパソコンに集中している最中に「よし」と、声を発することもある。

長時間パソコンに向かった後、席を立って、他のスタッフたちの席の横を歩き回る。見回りとか、徘徊とか呼ばれた。力を入れすぎてパソコンのキーボー...