<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第163回 失われた40年(15)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
音楽室のベートーヴェン
昔の学校の音楽室には有名な作曲家の肖像画がずらりと並んでいた。音楽の父バッハやヘンデル、ハイドン、モーツァルト、そしてベートーヴェンなどの作曲家たちである。肖像画の中の彼らはいずれもこわい顔をしていたので、楽器などを置き忘れて、一人で音楽室に取りに入るのがこわかった記憶がある。ベートーヴェンと目が合うと、その目がギョロリと動いたという都市伝説が子供達の間で信じられていた。
そのこわいベートーヴェンの肖像画が今回、EUの共通通貨であるユーロ紙幣の新しいデザインの候補に挙がっているという。欧州中央銀行は2002年の発行開始以来初のユーロ紙幣の全面的な刷新を計画しており、そのデザインの候補にレオナルド・ダ・ヴィンチなどの欧州の偉人たちの肖像画も候補の一つに挙がっているのだという。そもそもお札に偉人の肖像画を用いるのは日本を含めて非常に一般的なことである。したがって驚くような話ではないと思っていたのだが、実はこれは画期的な事なのだそうだ。というのも、これまでユーロ紙幣のデザインには特定の国を連想させるようなデザインは避けられていたからである。偉人を採用すれば、どうしてもその...
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