<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第165回(最終回) タイトルに込めた想い
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
暖簾に腕押し
この連載を担当させていただく以前から、もしどこかで寄稿をする機会があれば、そのタイトルは「暖簾に腕押し」にしようと決めていた。それは8年間IASBで理事を務めていた間ずっと感じていたことだったからだ。
IASB理事は14人いて、地域別・バックグラウンド別にその配分が決定されている。筆者の場合はアジアからの財務諸表作成者というバックグラウンドの理事であった。さりながら、各理事は出身の地域やバックグラウンドの利害を代表するものではなく、あくまでも自分自身の専門性に基づいて会議に参加しなくてはならない。各理事が自分の地域や分野の利害を代表して議論すれば、まとまるべき議論がまとまらなくなるか、あるいは偏った結論に陥ってしまうからだ。
一方で日本の市場関係者の多くは、IASB理事を日本代表であると思っている。日本の意見をIASBの会議の場で発信するのが理事の役割だと信じている方も多い。もちろん日本という大きな経済圏の状況を理解しているのは筆者一人だったので、日本への影響についての情報共有はしっかりしなければならない。しかし、この理事は日本の利害のことしか考えていないという目で見られてしま...
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