会計基準の長い日々 第40回 会社法創設の機会に(その2)~純資産の部と株主資本等変動計算書

 公認会計士 西川 郁生

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「純資産の部」の誕生

貸借対照表表示検討専門委員会が作る新基準の名称は、当初、「貸借対照表の区分に関する会計基準(仮称)」であった。内容次第で変更になりそうな名称である。

2004年に公表された「討議資料 概念フレームワーク」を参考にして議論が開始された。討議資料の「財務諸表の構成要素」の章で、構成要素の一つに位置付けられるものに、純資産がある。その定義は「資産と負債の差額である」とされた。名前のままである。定義的な説明は何もない。差額という意味しか持たないことが、ある結論を採用するときには強みになるということが見えていた。資本だけでなく、その他の要素が含まれることが当然の帰結になるからである。

秋葉統括研究員 ① は、資本の部の名称を純資産の部に変えるという作戦を持っていた。決めうちで結論を押し付けるより、「まあ、純資産でいいか」くらいになることを考えていたようだ。

純資産が討議資料で既に使われているということは大きかった。討議資料は基準内容を制約するものではないが、そこでの概念そのものは否定しにくい。

私自身、「討議資料を基準開発に使っていきたい」という考えを、討議資料公表後の外部向けセミナーな...