従業員社宅に係る支払い賃借料の損金算入時期(短期前払費用の取扱い)
会社処理(年月は一例です)
① 支払→該当月(2024年4月)の家賃について、貸主に前月(2024年3月)に支払及び費用計上
② 従業員からの一部徴収→該当月(2024年4月)に収入賃借料で収益計上
税務処理:費用の損金算入時期の原則は債務確定であり、本件事例においては実際に賃借を受けた2024年4月になるものと考えられますが、弊社では短期前払費用の特例の範疇と考え、支払ったタイミング(2024年3月)で損金算入しています。
税務調査での対応:短期前払費用の特例の通達の注書きにおいて、「収益の計上と対応させる必要がある費用については短期前払費用の特例の適用はない」との記載があり、本件は給与のマイナス(=会社にとっての収益)が伴っており、短期前払費用の特例の適用対象外ではないか、と指摘を受けました。
? 本件は最後まで検討事項に残り、他の項目とのバランスで否認には至りませんでしたが、過去から継続している処理に対する指摘であり、この指摘には驚いたというのが正直な印象です。
社宅家賃の運用はもちろん会社の利益獲得を意図したものではなく、通達の注書導入の経緯からしても、会社処理の誤りと断言することには調査官の強引さを感じております。なお、調査官からは「通達の注書に挙げられている"借入金を有価証券等に運用する借入金に係る支払利子"はあくまで例示であり、収益が伴う費用ならば注書の適用を受ける」「注書の経緯は把握しているが、経緯ではなく、通達の文言で判断する」とのコメントがありました。
参考:法人税法基本通達2-2-14
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加、昭61年直法2-12「二」により改正)
(注)例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。
【竹田】 基本通達逐条解説において、企業………
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