2026/01/20 9:45
DB限定記事「人事部のための国際税務」がスタート!
全12回の連載。1月20日スタート。以降、毎月20日頃順次UP予定です。
"税務"といえば、企業においては経理部・税務部をイメージしますが、海外出向者に関しては多くの場合、人事部の管理となるため、国際税務において特に「海外出向者への給与に関する課税問題」は、人事部の方も押さえておきたい分野といえます。本連載では「海外出向者」、「給与」、「国内源泉所得」、「租税条約(短期滞在者免税)」などをキーワードに人事部の方がこれだけは知っておきたい「国際税務の基礎知識」をお伝えしていきます。この機会に学習を始めてみてください!
月刊国際税務編集部

人事部の皆さん、毎日の業務お疲れさまです。言うまでもなく、社員は会社の宝物です。宝物社員の適材適所に基づく配置やキャリア形成、メンタル・フィジカル両面からのケア、労働意欲の向上など、人事部の仕事の重要性は計り知れません。そして人事部の給与チームといえば、宝物社員の重要なモチベーションである給与や賞与を計算する部署です。
しかし、収入あれば税金あり。源泉徴収を正しく行うことも、給与チームの重要な業務です。そして、海外に事業を展開している企業グループにとっては、海外出向者や外国人社員の給与の源泉徴収も、れっきとした国際税務の仕事の1つになるのです。
社内では、海外出向者に関係する次のような会話が交わされているかもしれません。給与の課税に関して、人事部(給与チーム)が頼りにされています(【表】)。



















【表】 社員さんたちの会話の疑問点
| 1 | 海外駐在員の給料には、日本では所得税がかからない? |
| 2 | 海外駐在員の給与の一部が日本で支払われれたら、課税はどうなる? |
| 3 | 外国から来て日本で働く社員は、滞在の長短で給与の課税が違ってくる? |
| 4 | 海外子会社が駐在員に払う給料が、日本の申告対象になる場合がある? |
国際税務などというと、タックス・ヘイブン対策税制や移転価格税制などの複雑な税制をイメージされるかもしれません。これらの取扱いを誤ると、会社の法人税の多額の増加につながりかねません。とはいえ、法人税の計算は経理部や税務チームの仕事だから、人事部には国際税務なんか関係ない...と思っていませんか?
人事部(特に給与チーム)にとっては、国際税務が関係する仕事は「対岸の火事」なのでしょうか?
実はそうではありません。何もかもがグローバル化している昨今、社員の給与も国際税務と無縁ではいられません。人事部はすでに、「対岸」にいるのです。
それは、「日本に住んでいない社員」に払う給与の源泉徴収という仕事が、まさに国際税務の話だからです。
令和7年の年末調整には、基礎控除の見直しや特定親族特別控除の創設をはじめ、多くの改正点がありました。令和8年度の改正も、すでに税制改正大綱で示されています。通常の源泉徴収や年末調整の業務だけでも、人事部は大変です。
その上、海外出向者や外国人社員への給与やフリンジベネフィットの支給形態も多様で、それが国際課税のルールに基づいて課税になったり、支払者に源泉徴収の義務が生じたりしますので、苦労が絶えません。
それに、会社が源泉徴収する税金は社員自身の所得税ですから、社員の会話で話題になっていたような点は、社員にきちんと説明してあげることも必要でしょう。
次回から、人事部(給与チーム)の仕事である「日本に住んでいない社員」の給与課税と源泉徴収を仕切っている、国際税務の基礎的なルールを見ていきます。その中で、最も重要な、ルールの軸となる事項は次の2点です。
| 1 | 給与を支払う社員が「日本に住んでいるかいないか」の判定 |
| 2 | その社員が「日本国内で何日間働いたか」の確認 |
遠い海外で仕事をする社員にとって、人事部は頼られる存在です。このシリーズでは、海外出向者や外国人社員の給与の源泉徴収のポイントを簡潔に整理していきます。上の会話にある社員の疑問点も、その中のどこかで取り上げます。
ここで今一度、給与と国際税務の基本的な関係を確認しておくことは、海外展開を担う社員さんたちの疑問や期待に応え、モチベーションのアップに必ず役立つと思います。人事部と国際税務、レッツ・スタート!
全12回のうち第1回~第6回までの記事について、こちらのサイトでも順次公開していきます(毎月20日頃公開)。なお第7回目以降の記事は「国際税務会員のみ」が閲覧可能となります。この機会に下記より資料請求いただきまして入会をご検討ください。