19年度改正では特殊支配同族会社の節税規制要件が緩和されることになったが、当面一年間の決算期については依然として厳しい要件が課されていることに何等変更はない。
そこで、本誌で連載中の基準所得金額ケーススタディでは、適用初年度だけに限定して、「当期前の、ある事業年度で本業不振が主因で欠損が生じた場合(調整欠損金額が発生する場合)」の基準所得金額の影響について、見ていくことにする。
今回、業務主宰役員給与が主因で所得の少ない会社であったとしても、過去3年の間に大幅な欠損が生じた場合には、業務主宰役員給与額が800万円を上回っていたとしても、損金不算入規定の適用除外になる可能性があることが分かった。所得の少ない会社は業務主宰役員給与額が800万円を超えると、損金不算入規定の適用を受けやすいことは、今までのケーススタディにて紹介してきたが、基準期間内で本業不振が主因で欠損が生じた場合には、損金不算入とならない可能性が高まったといえそうだ。