贈与を受けた日に日本国内に住所を有していたか否かを争点とした訴訟で、東京高裁は、一審判決を取消し、逆転で課税処分を支持する判決を行なった(平成20年1月23日判決言渡 平成19年(行コ)第215号)。
納税者は贈与を受けた日には国外(香港)に居住しており、また、贈与を受けた株式は国外(オランダ)にある会社の株式であったため、当時の相続税法によれば、納税義務を負わないとして申告を行わなかった。これに対し、国税当局は、納税者は租税回避目的で香港に渡航しており、職務の中心的な従事場所は日本の会社で、住所が日本国内にあったことは明らかとして課税処分を行い、この処分を不服とした納税者は訴訟を提起し、一審の東京地裁は納税者の請求を支持し課税処分を取り消していた。
今回の判決で、東京高裁第12民事部の柳田幸三裁判長は、納税者は租税回避目的で香港の滞在日数を調整しており、滞在日数による形式判断は相当ではないとして、「生活の場所」、「職業活動」、「資産の所在」、「居住意思」等から検討を行い、生活の本拠は日本国内にあったと結論づけて、課税処分を適法とする判断を示している。