最高裁判所第三小法廷はこのほど、公共事業による土地区画整備で相続発生時には更地となっていた宅地に小規模宅地特例が適用されるか否かが争われていた事案に対し、税務当局の主張を採り特例適用は認められないとした福岡高裁の判決を破棄し、差戻しを命じた(平成19年1月23日判決言渡し 平成17年(行ヒ)91号)。
二審の福岡高裁は、一審の判断に引き続き、小規模宅地等の特例が適用されるためには、居住用建物の敷地として使用されることが外形的、客観的に明らかになっている状態にあることが必要とし、課税当局の更正処分を支持する判断を示していた。これに対し、最高裁判所第三小法廷は、仮換地を居住の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情を認めることはできず、小規模宅地特例が適用されるべきとの判断を示した。
最高裁の判決が税務実務に与える影響は大きく、実際に取扱いが変更された事例もある。今回の事案は、福岡高裁へ差戻しとなっており、判決が確定したわけではないが、取扱いの変更を含めて課税当局が今後の対応を検討しているところから、その動向が注目される。