2026/02/20 9:40





人事部の皆さん、毎日の業務お疲れさまです。このシリーズでは、給与計算を担当する方々向けに、国際税務の一環としての源泉徴収の基礎的な考え方や取扱いをテーマにして、簡潔に説明していきます。今回は、「全体としてこういうことなんだな」というイメージをつかんで頂ければと思います。
もし、皆さんの会社で「今は外国に住んでいる社員が、一時的に日本に戻って勤務する場面」が想定できるなら......ここが人事部の国際税務の出番です。例えば、親会社の社員の身分を持ったまま海外子会社に出向している社員が、その途中でしばらく日本に戻って勤務するような場面です。
なぜかというと、日本の税法では、「今日本に住んでいない社員に払った給与のうち、日本で働いた日数に対応する金額は、日本の課税対象になる」からです。それは、次のように課税されます。
後で触れますが、この日本税法による課税は、租税条約があれば多くの場合に免除になります。国際税務の重要な点です。
ここで専門用語を紹介します。国際税務の最重要単語です。
社員が居住者か非居住者かによって、給与に対する日本の課税がまったく違ってきます。ですから、社員が居住者か非居住者かを明確にすることが重要事項その1です。
もし社員が全員居住者ならば、このシリーズの話はただの知識なのですが、海外駐在員がいれば必ず関係してきます。
どの社員が非居住者であるかがわかったら、次は「非居住者の社員が一時的に日本で働いていないか?」の確認です。
給与収入のある非居住者が国内で勤務したら、その給与の支払いをどの国の会社がしようと、日本で働いた日数に対応する給与が日本で課税されます。
これは、居住者は単純に「世界中で得たすべての種類の収入」が課税になるのに対して、非居住者は「国内源泉所得」と呼ばれる日本で生じた収入だけが課税になるからです。馴染みのない専門用語ですが、これも国際税務の最重要単語です。
国内源泉所得は税法に列挙されていて、その中に「国内で行う勤務に対応する給与」が入っています。したがって、給与の場合の国内源泉所得とは、「その社員に払ったすべての給与のうち、日本で勤務した日数に対応する金額」をいいます。国内源泉所得については、次回にもう少し説明します。
ここで、日本の親会社から海外子会社へ出向した社員(非居住者とします)のケースを考えてみます。
次の給与は二つとも、国内源泉所得の部分が日本で課税になります。
課税方法の原則は、(1)は社員本人による申告納税、(2)は親会社(支払者)による源泉徴収です。
国内源泉所得となる給与の金額は、基本的に日数按分で計算しますので、手間ではありますが、給与担当者は非居住者の社員が日本国内で勤務した日数を把握しておかなければなりません。
短期間の会議のために日本に出張してきたり、休暇で帰国して会社には挨拶に来ただけ、などの場合には、その日数を日本での勤務日数にカウントする必要がない場合もありますが、個別の検討が必要です。
ここまでの説明は、あくまでも「日本の税法」に基づいています。もし、その社員が住んでいる外国と日本との間に租税条約があれば、多くの場合、源泉徴収や社員自身の確定申告をしなくて済みます。租税条約が日本の税法による課税を免除するのです。
ということは、給与チームは日本の税法と租税条約の両方を知っていなければいけません。
このありがたい租税条約と日本の税法の関係は、次回以降で整理していきます。
全12回のうち第1回~第6回までの記事について、こちらのサイトでも順次公開していきます(毎月20日頃公開)。なお第7回目以降の記事は「国際税務会員のみ」が閲覧可能となります。この機会に下記より資料請求いただきまして入会をご検討ください。