資本金1億円超の法人等が対象の「欠損金の繰越控除の8割制限」は、法人税と同じくその法人の所得を課税標準とする法人事業税の所得割にも自動的に影響する。つまり、所得割額の計算上も、使用できる欠損金は所得の8割ということになる。
また、法人税額を課税標準とする法人住民税は、法人税の表面税率が引き下げられたため、法人税に連動して負担減となる。その一方で、「欠損金の繰越控除の8割制限」の適用がある場合、欠損金の控除前が黒字であれば、たとえ繰越欠損金がその期の所得を上回っていようとも、確実に課税所得を生じて法人税額が算出されることとなる。
そのため、従来は、住民税が課されなかった場面で新たに課税が生じる場合があることになる。欠損金の繰越控除制度改正の地方税への影響を検証した。