【会計・監査と新型肺炎③】「基準日変更に定款変更求めず」法務省,定時株主総会の開催時期で解釈示す

 法務省は2月28日,「定時株主総会の開催について」を公表した(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00021.html)。文書は,新型コロナウイルスの感染が広がる中,予定の時期に定時株主総会を開催できない場合の,定款の定めと実務対応に関する解釈を示したもの。開催できない状況が生じた場合は「その状況が解消された後,合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りる」などとしている。

 東日本大震災の時にも同様の取扱いを示す文書2本(「定時株主総会の開催時期について」及び「定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて」)が出されていた(「週刊経営財務」3月9日号より)。

開催時期に関する定款の定めについて
 定時株主総会の開催時期を定款で定めている場合でも,天災等の事情により開催できないときにまで定款の字義通りに開催を求める趣旨ではないとの考えを法務省が文書で示した。また,「事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではない」とも補足している。

 したがって,開催できない状況の解消後,会社法の規定にある「合理的な期間内に開催すれば足りる」とされた。

 (株主総会の招集)
第296条 定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。

議決権行使の基準日設定について
 我が国で3か月以内の総会開催が慣行になっているのは,定款において議決権行使のための基準日を事業年度末日に定めている会社が多いため。総会で議決権を行使できる株主の権利は,定められた基準日(多くは事業年度末日)から3か月以内に行使するものに限られている。

 そのため,定款で定めた株主総会の開催日を変更する場合,通常であれば,議決権行使のための基準日の変更が必要になり,定款で定めた基準日を変えるために総会を開く必要がある。今回の対応は,その総会をやむを得ない事情によって開催できないときの方法を示している。

 すなわち,「新たに議決権行使のための基準日を定め,当該基準日の2週間前までに当該基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する」としており,定款の変更までは求めていない。剰余金の配当に関する定款の定めについても同様の考え方を示した。こうした内容の文書は,2011年の東日本大震災の際にも出されていた。

適時開示も必要
 法務省の公表文書を踏まえて東京証券取引所も対応を図った。定款に議決権の基準日の定めがある場合で,基準日から3か月以内に株主総会を開催できない状況が生じた時に,新たに基準日を定めるのであれば,その旨の適時開示が必要であるとの案内を,3月3日付けで上場企業に対して案内済みとのこと。