【会計・監査と新型肺炎④】英FRCなどがガイダンスを公表~新型コロナウイルス感染拡大が期末残高に影響する可能性も

 ますます猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)。健康面への影響はもちろんだが,監査業務への影響も気になるところだろう。12月決算企業が多い英国では,財務報告評議会(FRC)や英国勅許会計士協会(ICAEW)がそれぞれ,企業や監査人に対して,コロナウイルスによるリスクに関する開示についてガイダンスを公表している。FRCは「追加の減損テストを実施したり,リースが不利なものになっていないかを評価したりする必要があることから,資産と負債の帳簿価額に影響がある可能性がある」としている(「週刊経営財務」3月16日号より)。

FRCは企業側の対応を記載
 FRCは2月18日に,スポークスマンによるガイダンスを公表した。中国での新型コロナウイルスの出現とその拡大を受け,「これらに関連して,今期末決算においていかなる開示を含めるべきか,慎重に検討することを企業に奨励する」としている。その上で,以下の点を述べている。
・企業は,主要なリスクと不確実性に関する報告において,自らの事業に対する新型コロナウイルスの考えられる影響に言及(refer)するかどうかを検討するべきである。
・緩和策を講じることができるならば,リスクそれ自体の記載と併せて,これらも報告されるべきである。
・追加の減損テストを実施したり,リースが不利なものになっていないかを評価したりする必要があることから,資産と負債の帳簿価額に影響がある可能性がある。
・2019年12月31日時点ではこのようなケース(新型コロナウイルスによる感染)はほとんど確認されず,ウイルスが識別されただけであったため,12月期決算企業にとっては,これらの出来事は開示後発事象となる可能性が高い。ただし,それより決算日が遅い企業においては,期末残高に影響する可能性がある。

ICAEWは3月期への影響も見据える
 ICAEWも2月27日に,「グループ監査人のための考慮事項」と題したガイダンスを公表している。6つの項目が挙げられており,例えば以下の点が記載されている。
・(監査に)必要な情報を準備するための企業の活動がどの程度影響を受けているか検討する。病気や移動の制限による人手不足は,証跡を提供するための経営陣の活動に影響を及ぼす。グループ監査人は,経営陣と事業がどれだけ影響を受け,グループ財務諸表の作成のために必要な情報をどのように入手するつもりかについて,議論の場を設けてもらうべき。
・可能であれば,ウイルスの拡大が緩やかになるか止まるまで,そして移動の制限が緩和もしくは解除されるまで,報告スケジュールを遅らせることができないか,議論する。
 同ガイダンスには「12月決算についてはすぐに検討すべきだが,(移動の)制限が続くことで,2020年3月期決算も影響を受ける可能性がある」とする。必ずしも先々の状況は明らかではないが,日本における2020年3月期決算の監査も無関係ではいられないだろう。英国のガイダンスは適宜,参照しておきたい。