【会計・監査と新型肺炎⑦】金融庁 新型コロナ対応の連絡協議会開催~決算・監査に関する懸念や影響等を共有~

 金融庁は4月3日,「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」を設置・開催した。金融庁を事務局,日本公認会計士協会(JICPA),企業会計基準委員会(ASBJ),東京証券取引所,日本経済団体連合会をメンバーとし,全国銀行協会,法務省,経済産業省をオブザーバーとする。新型コロナウイルス感染症の影響下における,企業の決算作業および監査等について,関係者間で現状の認識や対応のあり方を共有していく目的で,会計基準や制度の変更を行うものではない。今後も継続的に開催し,各団体の取組み状況を適宜共有する。

会計基準や制度は変更せず
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で,企業の業績の悪化や決算対応上の課題が生じることが見込まれる状況にある。金融庁はこのほど「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」(連絡協議会)を設置し,4月3日に第1回を開催した。議論は3月決算には限定しないが,これから3月期決算作業が本格化していくタイミングということもあり,今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によって生じている,あるいはこれから生じると考えられる企業の決算作業や監査等における問題や課題認識等を共有した。

 一部では減損の先送り等,会計のルール自体を変えるかのような報道もなされているが,会計基準の見直しや制度の変更は行わない。現行ルールのもと運用面でどのような対応が可能かについて目線合わせを行った。例えば新型コロナウイルスの影響といったマイナス要因だけをみて画一的に企業の状況等を判断するのではなく,政府の緊急経済対策などプラス要因も織り込んだ判断を行うことなどが話し合われた。

連絡協議会は継続的に開催
 共有された主な事項は次のとおり。JICPAは「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)」(3月18日)の公表等の対応を行っており,その第二弾についても検討を行っている旨などを報告した。

 東京証券取引所は,決算短信の開示について「45日以内」にとらわれず確定次第の開示が可能である旨、そして「新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報の早期開示のお願い」(3月18日)等の公表や,現在,株主総会に関するアンケートを実施していることなどを報告。

 また,オブザーバーの経済産業省と法務省からは,4月2日に新型コロナウイルスの感染拡大下における「株主総会運営に係るQ&A」を連名で公表したことが共有された(https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai_qa.html)。同Q&Aでは,新型コロナウイルス感染拡大の状況下で,より安全に企業が株主総会を開催するために,株主総会の運営上想定される事項についての考え方を示しており,結果として「会場に事実上株主が出席していなかったとしても,株主総会を開催することは可能」との考えなどを明らかにしている。

 なお,連絡協議会は今後も継続的に開催するが,あくまでも各団体の取組みや課題の「共有」を目的とするため,意見書や報告書等の公表予定はないという。

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