不動産市況や株式市況の悪化により、不動産投資法人(REIT)の一部に破綻例も見られるようになったことを受け、今後は不動産投資法人同士の救済合併の検討機会が増えるとの見方が強い。こういった動きを受け、投資法人を管轄する金融庁は先般(不動産投資法人や証券投資法人は、金融庁が策定する投資法に基づき設立される)、不動産投資法人同士が適格合併を行えるかどうかを検討する際に、特に不明確と考えられることが多い共同事業要件3点について国税庁に事前照会を行い、3月19日付で文書回答を受けた(「投資法人が共同で事業を営むための合併を行う場合の適格判定について」)。
同回答では、不動産投資法人同士で吸収合併を行い、かつ、合併後も同事業を継続等する場合(合併法人・被合併法人双方の役員が合併後も残留見込み)、①不動産投資法人は“導管体”だが事業実態があると認められるので「事業関連性要件」は充足、②執行役員は特定役員に当たるので「特定役員引継要件」も充足、③従業者は存在しないが、それだけをもって「従業者引継要件」を充足しないとは考えられず、結果的に同要件も充足する、との整理を行っている。
なお、6つある共同事業要件のうち、上記3点以外の要件については、投資法人サイドで個別に判定することが可能であることから、今回の照会では特段言及されていない。