【会計・監査と新型肺炎⑧】有報提出期限の一律延期の可能性にも言及~金融庁,第2回新型コロナ対応連絡協議会開催

 金融庁は4月10日,第2回「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」を開催した。金融庁,日本公認会計士協会(JICPA),企業会計基準委員会(ASBJ),東京証券取引所,日本経済団体連合会,全国銀行協会,法務省,経済産業省で,新型コロナウイルス感染症の影響下における企業の決算作業・監査等について,4月7日の緊急事態宣言と緊急経済対策を踏まえた対応について現状の認識等を共有した。主な内容は会計上の取扱いと決算作業の2点。会計上の見積りの考え方や,有報提出期限の一律延期の可能性,株主総会の開催時期について話し合った。連絡協議会は今後も継続的に開催予定。

ASBJは会計上の見積りの議事概要公表
 ASBJからは4月9日に開催した第429回本委員会において会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方について審議を行い,「新型コロナウイルス感染症への対応(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」として議事概要を公表したことが報告された。本状況下での会計上の見積りについて,企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き,最善の見積りを行った結果として見積もられた金額については,事後的な結果との間に乖離が生じたとしても,会計上の「誤謬」にはあたらないとの考えなどを示している。

 JICPAは4月7日付で発出された会長声明「緊急事態宣言の発令に対する声明」において有価証券報告の提出期限等について一律延期の必要性に言及したこと,そして近々「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)」を公表予定であることを報告した(4月10日公表済)。後者では,財務諸表の利用者等の意思決定に資するという公共の利益を勘案し,不確実性の高い環境下においても,それを要因として会計上の見積りの監査が困難であることを理由に監査意見を表明できないという判断は「慎重になされるべき」としている。

株主総会の延期手法等も確認
 東証からは9日時点では51社が決算発表の延期を公表し,6月の株主総会の日程変更企業はごく少数といった内容が共有された。連絡協議会では,4月中旬ごろから決算や監査の問題がより表面化してくる可能性があるとの指摘があり,今後どのような対応が考えられるか議論を行った。有報の提出期限の一律延長についてもその一つだが,法律面の確認作業等に一定程度時間を要するもよう。今後,企業の状況を踏まえて金融庁で検討していく。また,株主総会については,仮に決算が締まらない場合にどのような開催延期手段があるのかを確認した。たとえば,「継続」として決算のみ別日に総会を開いたり,臨時株主総会で対応する,議決権行使基準日を動かすなどのやり方が議論された。

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