【会計・監査と新型肺炎⑩】金融庁,新型コロナ対応連絡協議会第5回開催 ~会計上の見積りに関する情報開示への懸念も~

 金融庁は5月8日,第5回「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」を電話会議で開催した。緊急事態宣言が延長されたことも踏まえて,第4回以降のそれぞれの団体の状況について情報を共有した。例えば企業会計基準委員会(ASBJ)は,新型コロナに関する会計上の見積りの前提となる情報開示が不十分という懸念があるため,4月10日公表の議事概要のさらなる明確化を検討中である旨報告した。

経産省と法務省は株主総会Q&Aを更新
 経済産業省(経産省)からは,4月28日に金融庁,法務省,経産省の連名で公表した「継続会(会社法317条)について」に関して説明があった。同書面では,継続会は新型コロナの影響で決算・監査対応が困難である現状を踏まえ「剰余金の配当の基準日が3月末日とされている場合におけるその基準日株主に対する配慮,経営体制を刷新していく必要性等多様な利害関係者の利益や質の高い監査を確保するために採用されるもの」とされる。この趣旨共有に加え,継続会開催までの合理的な期間の考え方(3カ月以内が目安)や,押印等事務遂行の在り方に関して記載した各論についても共有した。

 次に,経産省と法務省が4月2日に連名で公表した「株主総会運営に係るQ&A」を4月28日に更新した旨も報告された。株主総会の人数制限や,「結果として」会場に株主が来場しなかった状態での開催について記載した「Q2」について,株主に対してあらかじめ来場不要である旨の周知が可能かとの疑問が寄せられていたこと等への対応だ。今回の更新では,「株主等の健康を守り,新型コロナウイルスの感染拡大防止のために株主の来場なく開催することがやむを得ないと判断した場合には,その旨を招集通知や自社サイト等において記載し,株主に対して理解を求めること」が考えられるとされた。なお,この点に関連し,日本経済団体連合会は4月28日に定時株主総会の臨時的な招集通知モデルとして,モデルA(来場株主数を一定程度限定),モデルB(株主の来場を原則遠慮)の2つの公表を報告した。

 また,日本公認会計士協会(JICPA)は,監査意見および経営者確認書に関する留意点をまとめた「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その5)」の公表等について報告した(5月8日公表)。

ASBJは議事概要の明確化を検討
 ASBJからは,新型コロナ関連の情報開示に関する懸念が示された。ASBJは4月10日に議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」を公表し,現下においてどのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて,「重要性がある場合は,追加情報としての開示が求められるものと考えられる」としている。ところが,各社の3月期の決算短信において情報開示が不十分なケースがみられたため,議事概要の上記の趣旨をさらに明確化するかどうか検討中だという。アナリスト協会も同様の懸念があるとして,ASBJにはできるだけ早期の対応を求めたいとしている。

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