祖父から孫への贈与で国側勝訴の逆転判決~名古屋高裁 受託者に裁量ある外国信託利用した相続税対策で判断

 外国の信託を利用してアメリカ国籍の孫に国外財産を贈与した相続税対策を巡る事件で、名古屋高等裁判所は4月3日、贈与税決定処分を違法とした一審判決を取り消す判決を行った(平成23年(行コ)第36号)。国側控訴を受けた名古屋高裁裁判所は、原告(孫)は信託の設定時に信託受給権と信託監督的機能を有しているので受益者に当たるとし、信託行為時に生後8ヶ月の乳児で両親に養育されていたことから住所は親の生活の本拠である国内にあったと判断して国側の処分を認めた。

 一審の名古屋地方裁判所では、受益者に該当しないとして孫の住所などを検討するまでもなく、受益者であることを前提とした処分を取り消したが、高裁では本件信託が生命保険信託に当たらないこと、孫が制限納税義務者に該当しないことなども判断し、原告納税者の主張を退けた。原告納税者側は上告等の申立てを行っている。

 平成25年度税制改正では、国外に居住する外国籍の相続人・受贈者が国内に住所のある被相続人・贈与者から国外財産を取得した場合にも課税対象とする改正が行われたため、本件のように外国籍を取得させて国外財産を贈与するといった租税回避的行為はできなくなっている。
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