2020/05/21 10:38
有限責任 あずさ監査法人 金融事業部 ディレクター/博士(工学)/米国公認会計士(ワシントン州)
北野 利幸
1.はじめに
LIBORは,ロンドン銀行間調達金利(London Interbank Offered Rate)の略である。金利指標として長らく利用され,ローンや債券の利率,預金利率の基準として,またそのヘッジや組成のためのデリバティブの条件なども含め,広範に普及している。
もともとLIBORは,ロンドン市場において,シンジケートローンで複数銀行が協調融資するときに用いる統一レートの基準として,1970年代ごろに始まったものである。その利便性からローンに限らず変動金利の商品に広く一般的に使われるようになり,さらにロンドンのみならず,各地の市場に現地通貨建ての類似の指標が普及するに至った。現在では,金融商品を取り扱う金融機関はもちろんのこと,事業会社においても,資金調達やヘッジ,グループ内の資金融通などで基準とする金利として,現行業務に深く根差している。
LIBORが数年後に「恒久的に」公表停止,つまり金利指標としての役割を終えようとしている事実とその重要性は,当局の度重なるアナウンスや報道等にもかかわらず,まだまだ認識が薄いようである。金融機関側では,従前の規制対応と同じように制度の最終化や他社動向を待っていたり,事業会社側では銀行や証券会社からのアプローチを待っていたり,というのもしばしば聞く姿勢である。しかしながら,金利系の取引や評価においては当たり前すぎてもはや空気のような存在であるために,その廃止のインパクトが自身の業務に対していかほどなのかは当事者以外には計り知れず,自ら点検し,対応を計画する必要がある。
当局のイニシアチブを望む声もあるが,LIBORを含む取引金利は民・民の金融取引における契約中の条件の一つなので,不法行為など無い限り,原則当局は介入が困難と考えられる。対してその動向は金融市場の安定,公正な市場の確保,投資家保護等の政策的観点からは大きな影響を及ぼしうることから,当局の注目度は高い。このため,既存指標の改善や代替金利の充実など周辺環境の整備に並行して,新金利への移行のための業界の自発的な取り組みを促す声明が,各国当局から続く状況となっている。
本稿ではこれまであまり本件の検討に時間がかけられなかった読者を想定し,大まかではあるが平易な,かつ対応に際して重要なポイントのみを押さえた解説を行う。総論的に,LIBOR公表停止に至る経緯から代替金利の移行案までの全体像を押さえることで,移行問題の難しさと重要性を理解する一助となれば幸いである。
2.LIBORとはなにか
シンジケートローンを出自とするLIBORは,一定のクラブに参加している大手メンバーがレートを持ち寄るという形で決定され始まったものである。現在では一定の制度化がなされ,ホールセール市場で活発に活動している国際的な大手銀行がパネル銀行として選ばれ,自身が無担保で他銀行から調達できると想定する金利を,調達期間(テナー)毎に各々が呈示,この呈示金利を上下除いたうえで平均したものが,LIBORとして公表されている(図表1参照)。
図表1:LIBORの決定
従前は「調達できると想定する金利」以上の定義が詳細には無かったため,一時期,この呈示金利の主観性を利用して,自分に有利な金利呈示を行ったり,さらには指標を操作しようとしたりした事例も見つかり,大きな問題となった。これを受け現在では,呈示金利の決定方法が詳細に取り決められ,ウォーターフォール方式と呼ばれる,利用可能な金利情報を優先順位リストの上から選択した方法で呈示する客観性を高めた方式に改善された他,運用上のガバナンス上の基準などの改善策が施されている。
この改善は,LIBORに限るものではない。LIBORは欧米と日本の主要5通貨を取り扱っているが,類似の決定方法をとる,他地域の現地通貨建ての金利指標として,EURIBOR(ユーロ),TIBOR(日本円)をはじめとする図表2のような指標があり,総称してIBORと呼ばれている。これらの金利指標も,国際的なベンチマーク規制1に沿って,頑健性の向上(IBOR+)の取り組みが同様に行われている。
図表2:各IBORとRFR
市場 | IBOR | 通貨 | RFR |
ロンドン | LIBOR | 5通貨 | SONIA (ポンド) |
ニューヨーク | 無し | 米ドル | SOFR |
大陸欧州 | EURIBOR | ユーロ | €STR |
東京 | TIBOR | 日本円 | TONA |
香港 | HIBOR | 香港ドル | HONIA |
シンガポール | SIBOR | 星ドル | SORA |
オーストラリア | BBSW | 豪ドル | AONIA |
TIBORを含むこれらの多くについては,「複数金利アプローチ」として,以下で説明する新しい無リスク金利(RFR,Risk Free Rate)と並行し,当面存続される見込みであるのに対し,LIBORは公表停止となり原則利用不可能となってしまう点は,重要なポイントである。
この理由は,リーマンショック以降,金融機関の信用リスクが応分に存在することが認識されたことで,レポ等の有担保取引にシフト,ターム物の貸出などの無担保銀行間取引は減少していくことになり,そのような取引を想定して金利呈示を求めるLIBORは十分に指標としての信頼性が保てないと判断されたからである。その取引の減少の度合いは近年著しく,結果としてLIBORのよりどころとなる取引そのものが減る中で,LIBORの金利指標としての利用は継続されるという,難しい状況になりつつある。
3.代替指標としての新しいRFR
パネル銀行の呈示金利に頼るIBORに代わり,より頑健な実取引に基づく指標の必要性が高まり,各市場では指標金利としての利用を踏まえたRFRの公表が始まっている。ローカルIBORが無く,廃止が見込まれるLIBORに依存する米ドル,英ポンド,スイスフランについては特に,このRFRをLIBORの後継金利として確実に利用できる環境を整備することが,市場の死活問題となっている。
現在LIBORを各種金融取引,価値評価,移転価格等に利用している会社の中で,これらの通貨,特に米ドルを扱っていることは多いと思われる。既存のLIBORに相当する金利が利用できなくなってしまう可能性が高いため,後継金利であるRFRへの乗り換え,さらにRFRをベースにした新しい業務運営をどのように行うか,早急に検討を開始する必要がある。
新しいRFRは一般的に,銀行間の翌日物取引の金利をもとに算定される。無担保のターム物取引と違い,多くは一定の実取引の流動性が保たれている。また1日分の金利であることから,銀行の信用リスクは極めて限定されると理解されている。旧契約の移行もさることながら,まずはこのRFRを用いた新規取引を開始することが期待されており,一部実現しているものの,その普及のスピードはあまり速くはない。依然LIBORを用いた新規取引が積み上げられているようである。
この理由にはいくつかの実務的な問題があると考えられる。RFRは翌日物のため,そのままではターム物取引,例えば3か月の取引には適用することができない。LIBORのような前決め金利(金利算出期間の開始時に当該期間の金利が決定する)をベースに構築されている事務・システムのマイナーチェンジで対応するには,翌日物RFRに基づきながらも,3か月などの期間の金利を表す,しかも前決めの金利が存在しなくてはならない。かりに期中実績に基づく後決めにすれば期間金利の数値は得られるが,後決め金利を扱えるような新たなインフラを整備する負担が加わることになるだろう。
既存契約における参照金利の変更においては,経済的な価値の移転(勝ち負けが変わってしまうこと)を避けるべく,現行の金利水準と移行後の水準の間の整合性を取る必要があり,さらに複雑となる。RFRとターム物LIBORとの差異は,①期間効果,②信用リスクスプレッド,に相当するものに主に分けられる(図表3)。元来違った作り方と意味を持つ指標であるため,RFRとLIBORの完全な整合性を,一定の計算の元で継続的に取るのは不可能であるが,RFRをもとにしつつも,数値の差異ができるだけ小さな後継指標を設定しなくてはならない。
図表3:LIBORと期間毎RFR+スプレッド調整
図表3の例示のように,3か月ドルLIBORと翌日物であるRFRを比較すると,RFRのほうの期間が短く,また信用リスクをほぼ含まない分LIBORと差がでる上に,決まり方が違うためそれぞれ別の動き方をするため,そのまま契約や計算の中の参照金利を書き換えるだけでは済まないことが分かる。さらに,複数の既存契約がヘッジ関係にある場合,その一方だけが後継金利に切り替われば,経済的なヘッジの効果が変わってしまうので,厳密に管理するとなると,ヘッジ対象がどのような金利を使っているのかを気にしなくてはならなくなる。
デリバティブの場合には,計算の詳細には触れないものの,①の期間効果を反映したRFR,②の期間毎RFRとLIBORの差を満たすスプレッド調整とも,ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)主導のもとでその定義が固まりつつあり(RFR複利後決め+過去スプレッド実績の中央値),ほどなく公表が開始される予定である。デリバティブの世界では,後決め複利(計算期間の終わり,または終わり間際まで翌日物金利を複利で積み上げる)計算は既に一部の商品で行われており,この「複利後決めRFR」であっても市場参加者の一定のコンセンサスが得られやすい。
これですべての金利を統一できれば理想的だが,現物取引(ローン,債券,預金,証券化・仕組商品他)の現状の実務の多くでは前決め金利(計算期間の開始時に既知となる金利を期間按分する)が基本である。デリバティブと同じ後決め複利をそのまま適用するには,金利計算などが変わることによるシステム設計や,オペレーション上の,多大な変更が必要になることが予想される。現物商品はデリバティブよりはるかに広範な当事者に影響することも鑑みれば,移行の難易度が高く,関係者の負担感も強い。
このため,RFRをベースにしながらも前決め可能な期間金利として,金利先物や翌日物金利スワップ(OIS)市場で観測された値をもとにして将来に向けた期間別金利を間接的に得る,いわゆるフォワードルッキングな「ターム物RFR2」も根強く期待されている。しかしながら,先述のベンチマーク規制をクリアできる頑健な金利を得るためには,十分な流動性を持った先物・OIS市場が必要であり,これが備わる時期はまだ不透明であるため,ターム物金利への移行を,唯一のメインシナリオとすることができないのが難しいところである。
4.移行タイミングの難しさ
このような新制度の話をすると,最も関心のあることは「いつまでにそれを行わなくてはならないか」というものであることが常である。LIBOR公表停止についても,一体どのタイミングに避け得ないデッドラインが来るのかということがまず気になるであろうが,この点でも,本件は一筋縄ではいかない具合になっている。
英国の金融当局であるFCA(Financial Conduct Authority)は,「2021年末以降はLIBORパネル銀行としての参加を強制しない」,という間接的な形で移行のタイミングを促している。ではこのタイミングできっぱりと市場参加者全員がLIBORと決別するのかと言えば,そうなることが当然というわけでもなさそうである。というのも,実際にLIBORの呈示金利を金融機関から集め,集計して公表する運営機関は,インターコンチネンタル取引所の傘下のIBA(ICE Benchmark Administration)である。IBAでは,公表停止の具体的なステップについてメモを公表しており3,FCAの意向に言及しつつも,2021年末以降も何らかの形で(ベンチマーク規制の要請を満たす形で)LIBORが継続される可能性について具体的に言及している。
このような中FCAは,呈示金利の数が減り信頼性が低くなっていく中でもLIBORがやめられないシナリオ,いわゆる「ゾンビLIBOR」が用いられ続ける状況を危惧しており,重ねて声明を発表,「公表停止前トリガー」の導入を要請している。これは,FCAがもはやLIBORがその役割に足るものでないと判断すればその旨をアナウンスするので,後継金利への切り替え(フォールバック)へのトリガーに利用されたい,というものである。これを受け,業界側でも検討が始められているが,当該アナウンスがどのような形式なのかも明らかになっていない中,実際の状況下でいかなるやりとりで切り替えるのかが,秩序ある新金利への移行のための,実務的な問題として軽視できない。
5.商品ごとの移行の足並み
以上のように,従来のIBORの存続の可否,参加者の前決めか後決めかの選好,期間毎RFRの構築方法の違い,移行タイミングのずれなどの要因により,商品区分によって後継金利として適用される金利がばらつく可能性がある。さらに,新取引のRFRへの移行や既存契約に対する後継金利への変更条項の導入(契約修正)の進捗の足並みが揃うことも期待しづらい。統一的に規制が適用されるような場合と違い,今回は個別取引で規定される金利指標の変更ということから,LIBORを用いている商品個別に対応の仕方を検討することになるだろう。
まず,前述の通り,デリバティブについては,ISDA主導により後継金利の定義が固まり,細かなコンベンションの調整に入っている。各通貨のLIBORの後継金利(RFR複利後決め並びにスプレッド調整)の数値が情報ベンダーから提供が開始されるとのアナウンスがあり,ISDA定義集への反映も予定されているなど,近いうちに取引が開始できる状況となる見通しである。
次に,ローンや債券などの現物商品については,ローカル性が高いという性質のため,デリバティブのようなグローバルで統一的な動きは無く,別々に動向をフォローする必要がある。SOFR(米ドル)へ移行する米国では,後継金利への切り替え条項(フォールバック条項)の推奨文言が1年ほど前に公表されている4。これによれば,期間毎RFR,スプレッド調整ともにウォーターフォール形式が採用されており(図表4),LIBOR公表停止のタイミングで利用可能な金利を,優先順位をつけて選ぶような取り決めも検討されている。状況に合わせた柔軟な方法に見える一方で,契約中にベースとなる金利が切り替わる可能性を内包させるということであり,その分リスクが発生し,業務・システムの対応も複雑となるという難点がありうる。
図表4:米ドル建て現物の推奨フォールバック条項5
一方で,SONIA(ポンド)へ移行する英国の最近の動向を見ると,米国と違い,期間毎RFRにはバックワードルッキングな「複利後決めRFR」をメインとする方向性を明確にしてきており,先物・OIS市場から得られるフォワードルッキングな「ターム物RFR」の利用は限定的であるべきとしている6。商品間の期間毎RFRの統一をより重視していると考えられる。また,スプレッド調整部分についても別途,現物商品(ローンや債券)への適用を想定した市中協議が行われている7。今後の協議次第ではあるが,現状は,ISDAと同様の過去スプレッド実績の中央値がメインシナリオのようであり,デリバティブとの間の定義の差異によるベーシスリスク(ヘッジ対象とヘッジ手段の間で違う金利指標を参照していることで起こるずれのリスク)を防ぐことを重視していると見られる。
加えて債券については,後継金利の取り決めを追加する際には,社債権者からの合意を得ることが原則必要であり,発行体はこの準備が必要となる可能性が高い。債券を発行している法域によるため一概にはその負担の大きさは測れないものの,例えば日本では,当局によれば,少なくとも公募債の場合は社債権者集会が必要と見られている8。必要な議決権を集めることは困難な場合もありえるので,早期の準備開始が必要となるだろう。
なお,ヘッジ会計については本稿では詳細に触れないが,日本基準,IFRS,USGAAPともに検討並びに公表が進んでおり,全体としては相互に大きな齟齬は無く,またLIBOR移行にできるだけ支障にならないような方向となっていると見うけられる。このため,会計基準が実取引のボトルネックになる可能性よりは,商品間の経済的なヘッジのずれ,例えば銀行が(ア)マーケットメイカーから金利デリバティブを調達して(イ)対応するミラー取引で(ウ)LIBORローンの金利を固定化しているような場合,(ア)~(ウ)それぞれの適用後継金利によっては,内部でベーシスリスクを抱えてしまうことなどのほうが,より切実な論点となるであろう。
6.本邦での検討状況
最後に,日本円の状況について触れておきたい。円LIBORも公表停止になるため,その後継金利を備えておき,移行の準備をする必要があるというのは他通貨と同じである。後継金利については,日本銀行が主催する「日本円金利指標に関する検討委員会」において検討が進んでおり,昨年11月に市中協議の結果報告書が公表された9。RFRについては,無担保コール翌日物平均金利(TONA)が選定されている。一方で,大陸欧州におけるユーロ(EURIBOR)と同様,TIBORが存続する見込みであり,後継金利の選択肢が増えることになる。
日本円のOIS取引によるターム物RFRの構築については,先日市場情報ベンダーが決定し,参考値の算出に向け準備が進められている。算出の基礎となる実取引の量が一定のレベルになるまではターム物RFRが利用可能となるか定かではないので,後継金利の選定上,ターム物の存在を所与として契約を行うのは難しそうである。フォールバック条項の文言案など,実務的に必要な事項は現在検討中のものもあり,英米と比較すると,移行準備の環境が揃うには,今しばらくの時間が必要のようである。
3月に,かねて行われていた,本邦所在の金融機関に対するLIBOR移行の影響度把握・対応状況調査のアンケートの結果が,金融庁・日本銀行連名で公表された10。集計項目の定義にもよるため,公表情報からは多くを確実に読み取ることはできないものの,影響度については,米ドルのLIBORが最も取引が多く,現物は主要行をはじめとするローンによる運用が中心となっていること,デリバティブは同じく主要行に加え証券会社に集中していること,調達は保険会社に件数の集中が見られること,などの大まかな特徴は見て取ることができ,非常に有意義なものとなっている(図表5)。
図表5:金融庁・日銀の調査結果(米ドルLIBOR)
対応状況についても興味深い結果が得られており,システムへの影響分析に着手しているところは比較的多い一方で,顧客へのアプローチや投資家リレーション(IR)などの対外的なコミュニケーションについてはほぼゼロという状況である。LIBOR移行に関する事業会社への周知がまだ十分行きわたっていない理由の一つであるとも考えられるが,後継金利やフォールバック条項の文言などの諸条件の詳細が確定しないうちに着手するのも現実的には難しいと考えられ,まずは制度的な整備の詳細決定を待ちたいというのも理解できる。
7.まとめ
本稿では,LIBOR公表停止,それに伴って必要となる指標金利の移行に関して,これから具体的な準備作業に着手するような読者を想定して,大まかではあるが問題全体を俯瞰するような形で解説を行った。
LIBORはもともと民間金融機関の協力のもとで,取引の実務上の要請に裏付けられて自発的に発展してきたものである。このため当局が直接的な強制力をもって変更を促すことが困難であり,その規模や影響範囲の大きさも相まって,従来の規制対応とは違った非常に難易度の高いものとなっている。
後継金利の定義,詳細な計算方法,市場情報の整備や実際の移行のための契約文言等,そのツールは準備が進んでいるものの,取引当事者の対応の進捗はまちまちであり,顧客レベルへの周知はこれから,また各市場での整備状況も差がみられる。商品ごとの後継金利の選択肢も複数金利アプローチなどにより完全な統一はなされないと見られ,これまではLIBORという一つの数値を見ていればよかった時代に比べ,複数の金利を使い分ける,これまでより複雑な市場となる可能性がある。
これは逆に見れば,これまでLIBORが国際金融取引並びにその発展に多大な役割を果たしてきた,非常に有用なものであったということである。それだけに,公表停止を迎えたときのインパクトは想像が困難であり,当事者としてのリスク認識をもって,十分なリソースをかけて対応するべきものと考えられる。
1証券監督者国際機構(IOSCO)が2013年に公表した「金融ベンチマークに関する原則(Principles for Financial Benchmarks)」並びにそれに基づく現地規制を指す。
2本稿では,「ターム物RFR」を,先物・OISをベースにして得られた前決め可能なフォワードルッキングな期間別金利に限定した呼称とし,バックワードルッキングの後決め複利は,「複利後決めRFR」と呼ぶことにする。
3 IBA,"ICE Libor - BMR changes and cessation procedure",最終更新2020年1月
4ARRC, "Summary of ARRC's LIBOR Fallback Language", 2019年11月
5脚注 ④ の米国ARRC(Alternative Reference Rates Committee)の文書をもとに筆者作成。
6The Working Group on Sterling Risk-Free Reference Rates, "Use Cases of Benchmark Rates: Compounded in Arrears, Term Rate and Further Alternatives", 2020年1月
7The Working Group on Sterling Risk-Free Reference Rates, "Consultation on credit adjustment spread methodologies for fallbacks in cash products referencing GBP Libor", 2019年12月
8金融庁,「LIBOR公表停止に金融機関はどう対応すべきか」,金融財政事情研究会「第2550回金曜例会」資料,2020年1月24日
9日本円金利指標に関する検討委員会,「「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議」取りまとめ報告書」,2019年11月
10金融庁・日本銀行,「LIBOR利用状況調査結果の概要及び求められる今後の主な対応」,2020年3月13日