土地需要の喚起を目的として,平成21年度税制改正で導入された「先行取得土地等の特例制度」は,将来,事業用の土地等を売却する予定がある場合に,買い換える土地等を先行して取得して届け出ておけば,譲渡時に圧縮損を計上できるというメリットがあるため,譲渡する土地は,既に所有している事業用の土地等に限られるのではないかと考える向きがあるようだ。
しかし,同制度では,譲渡する側の土地等については,「他の事業用土地等」とされているだけで,特段の制限が設けられておらず,先行取得土地等の取得を行った後に取得した土地等を譲渡した場合にも特例の対象があることが,本誌の取材により明らかとなった。
また,先行取得土地等として複数の土地等を届け出ておけば,届出をした土地の譲渡でも適用可能であること,10年以内に譲渡益が生じなかった場合には,長期所有土地等の1,000万円特別控除制度(措法35の2,65条の5の2)に切り替えることもできるので念頭に置いておきたい。