【海外短信】 2019年度 ベトナム子会社は移転価格調査に注意

海外で活躍するプロたち #1

2019年度の税務調査は、グループ間取引の多い企業を対象に移転価格調査を実施するという政府発言あり」

524日、ハノイで開催されたKPMGベトナム主催セミナー「税務調査最新動向アップデート」の冒頭、ディレクター谷中靖久氏は注意を促した。セミナーでは、ベトナム現地の日本人駐在者だけでなく、シンガポールやタイなどの地域統括会社からの参加者も多く会場は満席で、関心の高さがうかがえた。

ベトナム当局による最近の移転価格調査件数は、下記のようになっている。

     調査件数 追徴額・罰金

2016 329件  約6,070 VND(30億円)

2017  734件  約2.3VND(115億円)

2018  593件  約1.6VND(82億円)

2018年は国の予算達成状況が好調であったため、移転価格調査件数は2017年に比べると減少していると推測される。しかし、業種を問わず移転価格調査は引き続き活発に実施されており、1社あたりの追徴額は、追徴額・罰金ベースで約1,380万円と依然として高額である。

最近の主な指摘傾向としては、

法人税確定申告書に添付するForm0103やローカルファイル、マスターファイル及びCbCRといった移転価格文書の未整備が自動的に推定課税につながる傾向があり、非常にリスクが高い。

移転価格文書の作成期限は期末後90日と設定されているものの、確定申告期限終了後すぐに当該年度の移転価格調査が実施されるケースは見られない。ただ税務調査が厳格化されることによる傾向の変化には、引き続きモニタリングが必要。

以下のような企業は、特に移転価格調査を受ける可能性が高い。

赤字継続企業

EPE等の関連者間取引の割合や金額が多い企業

当局のデータ上、同業他社と比較して利益率が低いと判断される企業

セミナーに参加した男性は、「ベトナム課税当局は、中国当局の調査方法を真似ているような印象があるので、数年後には移転価格でアグレッシブに調査してくることが考えられる。移転価格リスクの高い国として、中国・インド・インドネシアに加えてベトナムも考えておく必要がありそうだ」と話す。

KPMGベトナムマネージャー古屋秀規氏によると、最近の税務調査は、形式的な否認から実質的な否認に変化してきていると指摘する。これまではインボイスの不備等による単純な否認が多くみられたが、最近はグループ間取引におけるロイヤルティや価格を調査してくるケースが増えているという。

仮に税務調査の実施が決まったとしても、納税者は税務当局の決定に対して、延期申請ができる場合もあり、税務調査のプロセスを把握しておくことが冷静な対応につながるとしている。

☆当セミナー資料は国際税務研究会会員サイトにてダウンロード頂けます。

☆国際税務研究会会員サイトの試用アカウントをご希望の方はこちらから。

https://www.zeiken.co.jp/contact/document/

提供元:kokusaizeimu.com