2017/07/12 13:21
平成29年度税制改正で「内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例制度」、いわゆるタックスヘイブン対策税制につき、所要の見直しが行われました。
新たに祖税負担割合20%以上30%未満の一定の外国関係会社を合算対象とするとともに、従来の「資産性所得の部分合算課税」をより拡充するかたちでの改正となっています。
これは「外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度に係る適用対象金額、部分適用対象金額及び金融子会社等部分適用対象金額について適用」されます(附則第54条、第70条、第85条関係)。
株主サイドからみると、最も早いケースでは、外国関係会社の平成31年3月期に係る合算対象金額が、平成31年4月1日から2か月を経過する日=同年6月30日を含む法人の事業年度又は個人の課税年分から適用となります。
今回の改正では、先述のとおり部分合算対象となる「受動的所得」の範囲が拡充されており、例えば外国子会社が稼得する株式の配当・譲渡益については、現行では持分10%以上の株式に係る部分は除外されていますが、改正後は除外される持分要件が、原則として25%以上に引き上げられます。外国関係会社が保有する「10%以上25%未満」の株式に係る配当・譲渡益が、新たに合算対象となる可能性が生じることになります。
この点は、法人株主はもとより個人株主各位にあっても、特に注意を要するところでしょう。
個人株主は、外国関係会社の持分についてTH税制を意識することはあまりないと推察されます。3月決算の外国関係会社であれば個人株主の平成31年分所得税から、12月決算の外国関係会社であれば平成32年分所得税から、それぞれ本改正の適用がスタートします。合算課税を回避するためには事前の対策が求められるところです。
※月刊『国際税務』2017年7月号「外国子会社合算税制等の改正その他各種国際課税関係の改正について」(助野雄作)参照。
提供元:kokusaizeimu.com