組織再編税制では、被合併法人等と合併法人等との間に50%超の株式保有関係がない場合、共同事業要件に該当すれば適格合併等に該当することとされており、この共同事業要件の一つとして“事業規模要件又は特定役員の引継ぎ要件”が織り込まれている。
事業規模要件は、資本金の額や売上金額など事業の規模が大きく異なる法人間が合併等を行った場合、事実上買収と変わらないため、再編に伴って移転する資産についての課税の繰延べを認めない趣旨で設けられているものだ。また、特定役員引継ぎ要件は、再編前後で特定役員が存続することが見込まれている場合、経営面からみて共同事業が担保されているといえることから、事業規模要件に代わるものとして設けられている。
ところで、事業規模要件や特定役員引継ぎ要件は、再編の種類によって規定が異なる部分があるため実務上では誤りが散見されている。そこで今回は、事業規模要件と特定役員引継ぎ要件のうち特に誤りやすい点について確認する。