匿名組合契約に基づく分配金が、日蘭租税条約の「その他の所得条項」に該当し、日本に課税権がないことを争点とした訴訟で、東京高裁は、1審に引き続き、オランダ企業の主張を支持し、課税当局の控訴を棄却する判決を行った(平成19年6月28日判決言渡、平成17年(行コ)第278号)。
事案は、1審の東京地裁で、問題となった契約の大きな目的が税負担の回避にあるとしても、契約は匿名組合契約と認めざるを得ないことや、匿名組合からの分配金は日蘭租税条約の「その他所得」に該当することを理由に、納税者の主張が認められており、課税当局が控訴していた(1審についてはNo. 2895参照)。
東京高裁第14民事部の西田美昭裁判長は、控訴審の判決で、問題になった契約の匿名組合該当性、また、分配金が日蘭租税条約に規定される「その他所得」条項の該当性についても、地裁の判断と同旨であるとして、課税当局の控訴を棄却し、地裁、高裁ともに納税者を支持する判断が示されている。