2018/08/01 14:43
企業懇話会オープンコンサルティングで対応策を検討
【企業懇話会Topics】
子供の成長を文字通り「手取り足取り」で応援する。親子であれば当たり前の光景です。
しかし、これがひとたびビジネスとなると、思わぬところから横やりが入ってしまいます。その最たるものが、海外進出した子会社に対する親会社からの役務提供に対する課税の問題です。
すでにご承知のように、会社間の取引について、税務では、時価による取引が原則であるとして、時価より低いとか無償である取引は時価に引き直したうえで、時価と実際の取引価格との差を寄付金とすることとしています。
これは、その取引が国内のものか、国内と海外のものであるかを問いません。
一方、企業が海外に進出するとなれば、日本の親会社は海外子会社に対して何かと面倒を見る必要が出てきます。進出先での市場開拓のアドバイスをはじめ、原料の調達、現地従業員の採用・教育等々、あらゆる面で税務でいうところの「役務提供」を親会社から子会社に対して行わざるを得ないのが現実です。
親会社からすれば、海外に進出させたのは自分たちなのだから、子会社のこうした面倒を見るのは当然のことともいえます。親が子供の世話をして何が悪い、といったところかもしれません。
移転価格の寄付金は損金不算入!
もちろん、税務調査官も、親会社が子会社の面倒を見てはいけないなどとは決して言いません。
言いませんが、面倒を見てあげるのなら、適正な対価をやり取りしてください。それがなされていないときには、寄付金課税の問題が発生しますよ、と調査官は言うわけです。
こうしたケースで発生する移転価格税制関係の寄付金は、一般の寄付金とは異なり損金算入枠がないだけに、企業側では実務処理が面倒になってきます。それだけに何とか寄付金認定は避けたいところですが、こうした場合大変なのは、実は、親会社から子会社への「役務提供」の正当な対価の額を決めるのが難しいという点なのです。
この「役務提供」が第3者である専門の会社などが行うのと同じものであるとすれば、手数料等相当を対価とすれば問題はないでしょう。
しかし、親から子への「役務提供」として調査官が問題にするのは、わざわざ別会社に依頼するほどのものではなく、親会社で十分対応できるような比較的簡単なもの、税務用語でいう「低付加価値役務提供」と言われるものなのです。
「低付加価値」であるだけに類似取引は少ないうえに、適正な金額は小さくならざるを得ません。
そこで、経理担当者はこれまでの実務からいわゆる「総原価法」と呼ばれる方式を編み出し、税務トラブルの発生を避けてきました。
しかし、今年に入って国税庁は、これまでの「総原価法」は原則として認めない。今後は総原価+原価の5%を対価の基本とするとの方針を打ち出しました。簡単に言えば、これからは対価の額を5%引き上げないと寄付金課税の問題が発生しかねないということです。
現在もこれからも数多く行われる親子会社間取引であるだけに、税務トラブルの多発といった事態は避けたいところです。
ではどうしたらよいのでしょうか?
企業懇話会では会員企業からの実例相談をベースとした「オープンコンサルティング」形式の実務検討会を開催し、この問題への実務対応策を検討しています。詳細はこちらをご覧ください。
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