サラリーマンの闇営業・・・経理部は意外なところから副業の情報をつかむ!

マスコミでは連日、芸能人の「闇営業」とそこから派生した様々な話題が取り上げられています。 「反社会的勢力」との接触は言語道断であることは論を待ちませんが、その一方で、闇営業で得られたギャラはきちんと税務申告され、この面での問題は解決済みと報道されています。これを聞いて「なんだ会社に内緒でアルバイトをしてもきちんと確定申告をしてその分の税金を払えば問題はないんだ」と思った営業部のA君。しかし、世の中はそれほど甘くはありません。今回はその辺りのお話を紹介しましょう。

年間20万円未満で申告不要といっても油断は禁物

A 「Bさん、吉本の一件は大騒ぎになってますけど、闇営業のギャラの件は少なくとも税金は大丈夫なんですよね?」

B 「芸人さんは何年か前の分だけど修正申告したっていうからね。会社を通さない収入だから芸人が個人で税金や加算税を払えばそれで済むのだろうね。もっとも、ギャラを払った方の源泉漏れなんかは何も情報がないけどね」

A 「ゲンセンって、例の毎月の給料から引かれてるあの源泉徴収のことですよね。他には何かありますか?」

B 「やけに根掘り葉掘り聞いてくるけど、君、まさか会社に内緒で闇営業でもしてるんじゃないだろうな」

A 「いや僕は"反社"なんかと関係してませんよ。ただ、学生時代の友達が健康食品の販売会社を始めたんでブログに広告記事を載せているだけですよ。うちの会社の商品とは全然競合しないし、人助けなんだから課長には内緒にしておいてくださいよ」

B 「今どきはなんだかんだでコンプライアンスが厳しいんだけどなあ。それでそのアルバイトはいくらぐらいもらってるんだ?」

サラリーマンは住民税のことを忘れるな!

A 「ひと月たったの1万円ですよ。友達が言うには年間でも12万円で確定申告不要な範囲内だから、申告もいらないし会社にばれることもないっていうんですよ。向こうは毎月きちんと源泉もしてるっていうことだし、これなら大丈夫ですよね?」(注・いわゆるアフィリエイトの収入については源泉徴収について要・不要が判然としていません。ここでは、源泉徴収しているとのケースで話を進めます)

B 「しかし、アルバイトはアルバイトなんだから、いいか悪いかは総務に聞いてみたら?」

A 「それができないから頼んでるんじゃありませんか」

B 「しょうがないなぁ。ことの良しあしは置くとして、今までの話の範囲で言えば、確定申告の義務自体はなさそうだけど、所得税の確定申告をしてもしなくても、結局のところ、君に何かあったことは会社、少なくとも経理にはわかってしまうよ」

A 「えっ!それはどういうことですか。確定申告はしないんですよ?」

B 「君はさっきから税金といえば所得税のことだけだと思っているようだけど、もう一つ住民税のことを忘れてるんじゃないのかい?」

A 「住民税ですか。あれは所得税をもとに計算するから、所得税の申告をしなければ何の関係もないんじゃありませんか?」

B 「これだもんなぁ。いいかい、相手の会社は名目はどうあれ、毎月、君に報酬を支払って所得税の源泉徴収までしてる。もし相手の会社が原稿料として源泉徴収をしていれば、年間5万円を超えているから君への支払額は「法定支払調書」として税務署に送られるんだよ。」(注・外交員の報酬などは、年間50万円以下のものは支払調書を送らなくてよいこととされている)

A 「税務署にはばれているんですか・・・」

B 「その可能性は高いよ。でも、相手の会社がきちんとしている証拠だからそこは仕方がないね」

A 「でも、20万円未満だから申告義務のないことに変りはありませんよね?」

B 「申告義務ねえ。確かに所得税の申告義務はないけど、住民税には少額所得の申告義務不要という制度はないから、君の場合は、アルバイト代もきちんと住民税の申告をしなければならないんだよ」

A 「住民税の申告??そんなものがあるんですか」

B 「ふつうは所得税の申告があれば住民税の申告も同時に処理されるから、住民税の申告が意識されることは少ないね」

A 「そうですか。それでもしも所得税も住民税も申告をしなかったらどうなるんですか?」

B 「税務署に来た調書をもとに地方税当局が君の住民税額を計算することになるね」

A 「サラリーマンの住民税は給料天引き(特別徴収)だから、税額が増えるのは仕方ないとしても、それ以外は特段問題ないんじゃありませんか」

B 「だけど、世の中は中々うまくいかないんだよ。会社は、君のアルバイト料込みの住民税特別徴収額を知らされるから、そこでもしかすると君の稼ぎが給料だけではないことに気づくかもしれない。それに、そんなことはないと思うけど直接君宛の住民税通知を見ればこの会社の給料以外に稼ぎがあることははっきりしてしまうからね」

A 「それはまずいですね」

B 「会社としてもいきなり君をとっちめたりはしないだろうけど、住民税からアルバイトがばれてしまうケースは少なくはないから覚えておいたほうがいいよ」

A 「・・・謝罪会見の準備をしておいたほうがいいですかね?」

B 「会社が会見を認めてくれればね(笑)」


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