企業買収において、全部取得条項付株式を使ってTOBに反対する株主の持分を取得する場合の株主側の課税関係については、個別判断を要する部分があることは、既にご紹介したところだ。(本誌No.2978)。
一方、全部取得条項付株式の取得は、旧商法における「100%減資」の手続きに代わるものとして会社法に盛り込まれた経緯があり、もともと会社再建での活用を想定したものと言われている(本誌No.2880)。
こうしたケースでの発行会社側の課税関係については、既に平成18年度の税制改正において、税務上の資本の部の整備によって手当てがなされており、全部取得条項付株式を本来的な目的で使った場合には、増資分だけ会社の「資本金等の額」が膨らむ結果になる点を確認しておきたい。