2016/09/06 21:42
公益社団法人・日本租税研究協会(三木繁光会長)は9月1日付で「平成29 年度税制改正に関する租研意見」をとりまとめ公表しました。
国際課税関係では、下記8項目にわたり意見・要望が提出されています。
BEPS 最終報告書行動13 に基づき、各国では、移転価格税制に係る文書化制度が整備されており、日本においても平成28年度税制改正で、① ローカルファイル、②マスターファイル(事業概況報告事項)、③国別報告書(国別報告事項)の文書の作成等が義務付けられました。
これを受け、同協会では、要望項目である「移転価格税制に係る文書化制度の創設」の中で、「EU では、財務情報として一定の多国籍企業グループのEU 内の法人に係る国別情報を公表する制度を採用する動きがあること」などを挙げ、これらは、「BEPS 最終報告書において国際的な合意に達した国際課税ルールに明らかに反する制度の導入を目指すもの」であることを指摘。移転価格税制に係る文書化制度については、国際的な合意の一貫性ある実施を通じた「税の安定性」の向上が重要であるとしています。
また、日本企業に対しても、本制度は、国際的な企業機密に係わる事項を含むことから、事前に万全の管理・運営体制を整備しガバナンスを高めることが大切としています。
要望8項目
1.国際課税ルールの見直し
2.租税条約改正の推進
3.外国税額控除制度の見直し
4.移転価格税制の見直し
5.移転価格税制に係る文書化制度の創設(BEPS 最終報告書行動13(国別報告書))
6.外国子会社合算税制の見直し
7.電子商取引に係る消費税制上の適切な対応
8.帰属主義への適切な対応