2019/09/12 9:00
石油や石炭の大量消費などを原因とする二酸化炭素濃度増加により,地球温暖化が進んでいる昨今。金融市場からは,気候変動がもたらす財務上の「リスク」や「機会」に関する開示の充実を求める声が高まってきている。そこで金融安定理事会(FSB)は,2015年12月に TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures=気候関連財務情報開示タスクフォース)を設立。2017年6月,気候変動がもたらす財務的影響の情報開示について提言を行った。
提言の内容は主に,気候関連財務情報開示に関して,①すべての組織が採用可能,②財務報告に含まれる,③決定を行う際に有益な,財務的影響に関してフォワードルッキングな情報を提供するように作られている,④より低炭素型の経済への移行に関連したリスクおよび機会に重点を置く――というもの。例えば,異常気象の激甚化による収入減少や,低炭素排出のエネルギー源の利用による操業コスト削減などの情報が対象となるという。また,気候変動の財務的影響を検討する際には,「将来を見据えた分析により強い重点を置くよう」奨励している。TCFDに対しては,環境省や金融庁,JICPAなどが賛同の意を示している。
また、丸井グループのように、2019年3月期有価証券報告書で、「気候変動への取り組みとTCFDへの対応」について記載している会社もある。