タックスヘイブン対策税制が日本とシンガポールの租税協定に違反するのか否か、また、適用除外要件の判断時期が主な争点となった訴訟において、課税当局の更正処分を適法とする判断が東京地裁で示された(平成20年8月28日判決言渡 平成18年(行ウ)第747号)。
タックスヘイブン対策税制の適用除外要件の判定について、原告は、複数の事業を営んでいる場合の主たる事業の判定は、事業が継続的なものである以上、その前後の事業年度を通じて判断すべきと主張したのに対し、課税当局は、課税要件の判断は各事業年度ごとに行われるものであり、適用除外要件の規定からも主たる事業についての判断時期は、その事業年度に求められるべきとしていた。
これに対し、東京地裁民事第3部の定塚誠裁判長は、タックスヘイブン対策税制が、シンガポール法人が事業等によって得た利得に対して課税するものではないことは明らかとして、「企業の利得」について課税権限の分配について定めた日星租税協定に反するものではないとした。なお、納税者は判決を不服として控訴している。