2023/10/20 10:00
[税理士事務所M&Aの相談事例]
会計事務所の事業引継ぎの一つの手段として、M&Aをご検討される税理士が増えてきました。税理士の皆さまより寄せられたよくある質問事例を、Q&A形式にてわかりやすく解説しました。
税務研究会では、会計事務所の事業引継ぎを検討しはじめた方を対象に、会計事務所の事業引継ぎに関する最新情報をお伝えする個別説明会を、全国各地で開催しております。
ぜひ、将来の事業引継ぎの参考にご参加ください。
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3年後に事務所を引き継ぎたいのですが、いつから準備を進めるべきですか?
準備は、今から 始めた方がよいでしょう。
会計事務所を引き継ぐには、簡単に説明すると、以下のような流れで進みます。
①ご自身のご希望やお考えを整理する
↓
②譲渡候補先を探索する
↓
③譲渡候補先と条件交渉する
↓
④譲渡契約を締結し、譲渡を実行する
譲渡候補先が複数ある場合は、トップ面談などの買手候補先との交渉の回数も増えます。
さらに、⑤譲渡後には、顧問先の引継ぎ(数か月~1年程度)、も必要です。
したがって、事務所の譲渡を決断してから引き継ぎが終わって引退するまで通常は、少なくとも「1年半~2年程度」はかかります。
引退を考えているのであれば早めに準備するのがよいでしょう。
なお、2月~5月は、税理士業界の繁忙期であるため、交渉はストップすることが多いです。
顧問先や従業員にはどのタイミングで説明した方がいいですか?
譲渡契約を締結した後 に説明することになります。
顧問先や従業員には、「譲渡契約を締結した後」に説明することになります。 これは事業会社のM&Aでも同じです。
契約前に顧問先や従業員に説明してしまうと、顧問先や従業員に不安感を与えてしまい、事務所を譲渡するという情報が外部に広まるリスクが高まります。
ただ、事務所の「キーパーソンには事前に話をする場合も」あります。
税理士は引退し事務所を離れても、キーパーソンは引き続き事務所に残ります。
そのキーパーソンがもし辞めてしまった場合に、事務所運営に支障をきたすことになるからです。
したがって、キーパーソンと相談しながら譲渡の交渉をする税理士もいらっしゃいます。
会計事務所の売却でネックとなるようなことはありますか?
まず思いつくのが、事務所で使用している「会計システムの違い」です。
職員にとっても、関与先にとっても、使い慣れていない「会計システムへの切り替えは負担」です。
買手としては、いずれ会計システムを統一するにしても、ソフトランディングが必要です。
売手としては、買手の会計システムに対する考え方も確認しておいた方がよいでしょう。
ただ、複数の会計システムを併用している会計事務所も多く存在しますので、それほど問題とならないケースの方が多いですが、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
他には、売手の税理士が「自社ビルを所有していて、そこに事務所を構えているケース」です。
ビルのオーナーである売手とすれば、「継続して賃借料を受領、または自社ビルも譲渡することを希望」しますが、買手はいずれ事務所を移転したいと考えるかもしれません。