平成21年度の税制改正では、事業承継税制として「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設される。これは、事業の後継者の相続税額のうち、事業継続に必要とされる発行済議決権株式の3分の2を上限として、その80%に対応する相続税の納税を猶予するという制度だ。
この税制の適用を受けるためには経済産業大臣の認定を受ける必要があるわけだが、そのためには、事業承継の計画的な取組みについて、経産大臣の確認が必要とされている。ただ、この経産大臣の確認、また認定については、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく事項となり、租税回避防止策のほかは税制固有の要件が付されることにはならないようだ。また、事業承継税制の導入に伴い、小規模宅地等の特例制度や、農地に対する納税猶予制度、また、特定同族株式等に対する相続時精算課税の特例が、今後、どのように取り扱われることとなるのかは、実務家ならずとも気になるところだ。
現在、事業承継税制の創設にあわせて、相続税の税額計算の方式の見直しも検討されており、本誌でもその動向については随時お伝えしているが、検討の方向性は示されてはいるものの、最終的な内容については、政府や与党の税制調査会での審議等を経た上で公表される税制改正大綱に拠ることとなろう。