会社法上、子会社が親会社株式を取得してはならないとされているが、再編時において子会社が親会社の株式を保有するケースがある。このような場合、子会社は相当な時期にその有する親会社株式を処分しなければならないが、その処分方法として、現物分配制度を利用し“配当”として親会社に株式を引き渡すことも可能だ。
ところで、平成22年度改正では現物分配の定義が明文化されたとともに、組織再編の一形態である適格現物分配が新たに規定され、現物分配法人と被現物分配法人との間に完全支配関係がある等の適格要件を満たしていれば、現物分配法人は譲渡損益を認識しないとともに源泉徴収も行われず、また被現物分配法人においても収益を益金の額に算入しないこととなった。
このことから、親法人と子法人との間に完全支配関係がある場合には、課税関係を生じさせることなく親法人は自己株式を取得することができることになる。