企業の海外取引活発化に伴いいわゆる移転価格事案が大幅に増加しているが、こうした状況のもとこのほど行われた国税庁の移転価格事務運営要領の一部改正では、事務運営指針に「国外関連者に対する寄付金」の項目(指針2-19)が新設され、企業の海外取引のうち寄付金に該当する項目が明示されたのが注目される。
というのも、海外取引であっても税務上国外関連者への寄付金に該当するものは課税処分が複雑な移転価格税制ではなく、措置法66条の4第3項の規定により単純な損金不算入として対処することが出来るからだ。海外取引の中でも寄付金は寄付金として処理する旨は従前から移転価格税制の中に取り入れられていたが、執行当局である国税庁が今回その内容を明確化した意味は大きいといえよう。
同庁では、さらに、移転価格事例25として寄付金と移転価格事案との違いを詳しく説明しているのでこちらも参照されたい。