法人の貸倒損失については法令上の規定がなく、基本通達9-6-1~9-6-3に示された取扱いが実務の拠りどころとなっている。
先般公表された国税庁の質疑応答事例の更新では、いわゆる“法律上の貸倒れ”について「第三者に債務免除を行った場合」、“事実上の貸倒れ”について「担保物がある場合」と「保証人がいる場合」、“形式上の貸倒れ”について「通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ」の4事例が追加されている。(本誌No.3237に原文を掲載)
もとより事実認定によるところが大きい取扱いではあるが、貸倒引当金が大幅に縮減される中で、個別事例に対する一般的な回答という形とはいえ、当局から損失計上に係る考え方が示されたことの意義は大きい。担保や保証人の状況と貸倒損失の計上の可否等、事例で示された内容を確認する。