2018/11/20 13:28
安倍総理が来年10月の消費税率引き上げを表明して以来、各社ではその対応を本格的に進め始めています。
そこで企業懇話会でも、消費税改正に関する経理実務家の疑問に答えるオープンコンサルティングを全国で開催していますが、そこで大きな話題となったのが、決算期末にインボイスが届いていないにもかかわらず消費税の仕入れ税額控除が行えるのかという疑問でした。
申告期限までにインボイスが届いていれば仕入れ控除は可能だろう
すでにご承知のように、今回の消費税改正では、マスコミで話題となっている税率引き上げ・飲食料品に対する軽減税率導入のほかに、企業にとって大きな意味を持つ改正が行われます。2023年(平成35年)から導入されるいわゆる「インボイス(適格請求書)制度」がそれです。
今の消費税制度では、仕入れ税額控除はいわゆる帳簿方式で行われています。企業は1年間の売上に係る消費税額から、仕入れに係る消費税額を差し引いて納めるべき消費税額を計算します。
これに対してインボイス制度が導入された後は、1年間の売上や仕入れを元に納めるべき消費税額を計算するのではなく、「インボイス」に記載された消費税額を集計して、仕入れに係る消費税額を計算することが法律で義務付けられます。
多くの企業ではインボイスに記載された税額をいちいち集計するのではなく、取引を機械処理する段階でインボイスの作成及びそこに記載される税額の集計を行うシステムを利用することになります。そこで行われた計算とインボイスに記載された税額の照合を行えば正確性は保たれます。
しかし、完全なデータ取引でもない限り、機械処理と実際のインボイス入手までには時間の開きがあります。仮に決算日当日に仕入れ取引が完了しており仕入れに係る消費税額の計算はできていても、肝心のインボイスはまだ仕入れ先から到着していないといった事態が当然のごとく発生してしまうことになります。
先に紹介した通り、インボイス制度ではインボイスに記載された税額を集計して消費税額の計算を行うこととされています。となると、決算期末にインボイスが届いていないこのようなケースでは仕入れ税額控除の計算ができないことになってしまうのでしょうか?
残念ながら、今のところ国税庁から明らかにされている通達やQAではこの問題には触れられていません。
しかし、それでは困ります。そこで行われた企業懇話会の実務検討会では、①消費税の仕入れ税額控除は仕入れを行った課税期間で行うこととされていること、②インボイスは課税期間終了の2か月後から7年間保存することが義務付けられていることなどから、たとえ決算期末にインボイスが届いていない場合であっても、消費税の申告期限までに届いているのであればこうしたケースでもその期で仕入れ税額控除を行うことが可能だろうとの見解が示されました。
なお、国税庁ではQA等の更新を今後も行う方針ですので、今後も企業懇話会ホームページ(会員専用)等での情報にご注意いただければ幸いです。
詳細はこちらをご覧ください。
※リンク先PDFは会員制度「企業懇話会」会員向け文書となります。
提供元:企業懇話会事務局